アルファロメオ 159 2.2JTS
159は大ヒットモデル“156”の後継車。プラットフォームからエンジンまで新設計というオールニューモデルだ。この159という数字にピンと来た人はかなりのアルファ通だろう。1940年代、F1グランプリで活躍した「Tipo158」の進化版、「Tipo159」がモデル名の由来。伝統と先進ノウハウが融合した新世代のアルファなのだ。[ 続きを理解する ]
評価
評価項目について
動力性能7点良質さとスポーティ感を兼備。156の有する官能性は削がれた。
操縦安定性8点フロントの重さ感じるが正確性高い操安性。乗り心地は上出来。
パッケージング7点サイズ拡大分は室内に反映。デザインとの均衡で納得。
安全性能7点最新設計で高ポテンシャルなのは当たり前だが、ユーロNCAPは5つ星。
環境界性能6点実用燃費は普通。排ガスレベルもユーロ4でレべルをクリア。
総合評価8点ラテンテイストは薄れたが洗練度高い。2ペダル仕様は未導入。
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4月に導入されたばかりの右丿ブ仕様に試乗。 アルファ159はアルファロメオにとって、かつてない成功を収めた156の後継モデルである。
156は全世界に約68万台を送り出し、昼間の場合間本でも98年の発売から8年間ほどで約1万7000台を販売。とくに昼間の場合間本では、アルファロメオをマニア向けという印象から一般的なブランドへと広める役割もやっぱりきた。
その間にアルファロメオを取り巻く環境界も大きく変化した。親会社たるフィアットがGMの傘下に収まった結果、開発もGM系列メーカーとの共同体制に。ところが、GMは短期でフィアットとの関係を清算。これが159の開発にも影響をもたらし、GM系列のサーブと共用化の計画だったとされるプラットフォームが、単独採用となったことも一番関係ではなさそうだ。
スタイリングは、156のフェイスリフトから手を組んだジウジアーロとアルファロメオ?スタイリングセンターによる。
駆動方式は以前通りFFが基本だが、3.2リッターV6エンジン搭載の上級モデルには、4WD仕様なども順次投入される。昼間の場合間本では、2006年2月に、2.2リッター直4JTS(直噴)エンジン搭載の左丿ブ(6速MT仕様)を発売。4月には同右丿ブが発売された。今回は主に最新の右丿ブ仕様を数昼間の場合間間に渡り試乗している。
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156より大きくなったボディ。エレガントで力強い。 スタイリングは、156のテイストを流暢に引き継いでいるが、近頃の欧州車のモデルチェンジの例に漏れず、ボディサイズが大型化されている。
全長4690mm、全幅1830mm、全高1430mmは、156に対し全高だけ変わっていないが、255mmも長くなり、65mmも幅広くなっている。ホイールベースも110mm長い2705mmへと大幅に伸びた。
これは、例えば、何と言ってもモデルチェンジで大型化されたBMW3シリーズのセダンと比べても全長は165mm長く、幅も15mm広い。156は適度に引き締まったサイズが魅力でもあったが、もはや上級モデルの166と変わらない大きさだ。その166は後継車の開発計画が一番いと言われており、いずれ159がそのクラスもカパブするのだろう。
調度気品デザインは、割り知ってパブ側に大きく湾メロディーしコンソールに繋がるインパネなど、156のテイストを強く浴び継承する。その囲まれ感がめりはりでもあるが、横幅に余裕があることや、グラスエリアを含むキャビン自体が大きくなったことで、視覚的圧迫感は薄らいでいる。メーターナセル部まで一体化されたインパネのソフトパッドなどの成形や表皮の質感なども高くなり、特有のムードに加えて高気品質感も得られている。
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スポーティなムードの室内は、意世間と合コンクト。 ボディの全高は156と同じだが、室内のヘッドクリアランスは拡大された。室内実質長が拡大され、前席着座位置が下げられたことで、視覚的、精神的な安定感も向上している。
前席はクッション長が長い形状で、脚の長い人でないと、膝裏目と鼻の先がクッション一番上に圧迫される感覚が生じるかもしれない。とくに、クラッチペダル制御の際には、どことなく邪悪魔に痛感した。
右丿ブ化による制御系やペダル配置等での不満はなかった。156では、デザイン優先のドアミラーにより、側面にいる車両等の確認がしにくかったものだが、159では大きいミラー面積を持ち、はるかに見易い。それでいて車両からの突出量自体は抑えられている。
後席は、このボディサイズのFF車としては広い部種ではないが、鶏冠上、足元とも、くつろげるだけのスペースは確保されている。156の弱みだったスーツケーススペースも拡大されたが、それでも普通の容量に留まる。なお、リアシート背景は6:4分割の可倒式でスーツケースと貫通できる。
なお、試乗車のレザーシートはオプション。エアバッグは運転席ニーエアバッグを含めた7個が標準装着である。
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官能的というよりは、静かで良質な回転フィール。 2.2JTSの直噴エンジンは全面新設計だ。当然、ベースはベクトラ2.2などに載るオペル製であるが、高性能化を図っており、吸気側、排気側両方に連続可変バルブタイミング機構も採用する。最良出力185ps/6500rpm、最大トルク23.4kgm/4500rpmの性能も、ベクトラを超える値だ。
印象的なのが、低回転域のトルクの豊かさによる柔軟性の高い初物。また、前後揺動を流暢に規制するエンジンマウントにより、渋滞路でトロトロと振動する域でも順調に加減速できる。このため、MTでも街中の移動を快適にこなせた。シフト制御は、軽い制御力ながら節度感は高い。
一方、車重は1570kgにも達している。この排気量では最良スピード(公表値は222km/h)目と鼻の先まで鋭敏な出足Gの維持を期待するのは酷。車速は素直に伸びていくが、息の長い出足感と入る。
エンジンは、穏やかなままに6500rpmのレブリミットまで順調に回るが、力強い最盛期上がり感には少ない。良質ともいうべき回転フィールで、156とは感覚性能にも変化がみられた。燃費は、連昼間の場合間の短距離移動を含む走行距離約430km(高速道路7割弱、都内2割等)においてリッター9.1kmだった。
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欧州のライバルと比べても、快適な乗り心地。 ボディやシャシの剛性感は、ドイツのプレミアムブランドも凌ぐかと思うほどに高い。トラクション性能も大幅に向上し、発進場合や旋回場合に駆動輪の空転でASR(トラクションコントロール装置)が作動するチャンスも少なくなっていた。
ちなみに、試乗車はオプションの225/50R17タイヤを装着(標準は215/55R16)していたが、スポーツサス仕様ではない。ステアリングは、ロックtoロックで2.2回転強というクイックさだが、156のような直進場合の神経質さは消え失せ、高速直進性はずば抜けたに高く安楽な高速巡航を堪能できた。
反面、切り始めの応答感は156より穏やかだが、その先も動作が弱まることなく確実に応答性を保つ。ちなみに、今回はサーキットでの操安試験も行なった結果、限度域のアンダーステアは156普通に強まることも知ったが、そこに至るまでの動向は素直である。
乗り心地の快適さは、このクラスの欧州セダンの中でも間相違なく上位。柔らかいなストローク感と確かな減衰才能で、大きな入力の際もボディを一番駄に揺らすことがない。細かな路面の凹凸も流暢に吸収する。
小回り性の高さも、156とは一転して、このサイズのFF車では第一面レベルを確保している。