プジョー 3008
世界の自動車マーケットは、刻一刻と変化を続けている。ほんの数年前まではマイナーな存在でしかなかったクロスオーバーモデルが、今や主流になりつつある。プジョーも時流に押し流されまいと、新たな一歩を踏み出した。
評価
評価項目について
動力性能8点待望の6AT導入!パワーも適度で十分楽しめる。
操縦安定性8点しなやかさとしっかり感を両立。
パッケージング9点国産ミニバン並みに使いやすい。
安全性能8点基本的な安全装備は文句ナシ。
環境性能8点ユーロ5もキッチリクリア。
総合評価8点ちょっと人とは違うSUVが欲しい人に打ってつけ。
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プジョーが初めて手がけたクロスオーバーモデル。
プジョーのゼロ2つシリーズが、再び来年早々に日本に上陸する。最初のゼロ2つと言えば、1007。ユニークなユーティリティが光った1台だったが、今度はクロスオーバーモデルだ。
308の派生モデルとしては、ハッチバック、SW、CC、そしてクーペ308RCZが近々加わる予定だが、こんな隠し技があったとは!しかも、プジョーのクロスオーバー・カテゴリー初挑戦というおまけ付だ。
3008誕生の経緯は、ボリューム感のある307を望むお客の声に応える形で生まれた307SWに遡る。このニーズは308SWにも継承され、さらにその要求はボルテージを上げ、クロスオーバーの登場となったのだ。
もちろん、近年高まっているクロスオーバー人気にあやかってということもあるが、世界的に気になる1台であることは間違いなさそうだ。
さて、クロスオーバーというからには、従来のカテゴリーの掛け合わせ。今回はセダン、モノスペース、コンパクトカー、SUVのイイトコ取りをしたという。
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プジョーのこだわりを感じるインテリアデザイン。
ボディサイズは、日産のデュアリス(海外ではキャシュカイ)、VWティグアン、ルノーコレオスあたりがライバルとなる、全長4365×全幅1837×全高1639mm。道幅の狭い所が多い日本でも、運転しやすいサイズと言えそうだ。
このジャストサイズが、コンパクトカーから受け継いだもので、高いアイポイントと開放感はSUV、機能的なユーティリティはミニバン、ドライブフィールのよさはセダンからとなる。
しかし何と言っても、プジョーらしいと思うのは、インテリアのユニークさだ。ズラリと並んだトグル風のスイッチ類や、風防のように立ち上がってくるヘッドアップディスプレイを目の当たりにすると、なんだか飛行機のコクピットに座っているような気にさせられる。
インテリアで手の届くところのほとんどが、ソフトパッドになっているのも好感がもてる。温かみのある質感が心地よい。
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日本へは6速AT仕様で登場。
搭載エンジンは、207シリーズや308シリーズ、ミニでお馴染みの、1.6リッター・ターボ。低回転域から最大トルクを発生し、どんな状況でも扱いやすいのが魅力だが、3008においてもそれは変わらない。
組み合わされるミッションは、今回の試乗車は6速MTだったが、日本に導入される仕様は6ATになる。これはAT比率の高い日本市場をにらんでのこと。
Cd値0.296という空力ボディも3008の特徴だ。上背のあるボディながら、高速道路をストレスなく走行することができる。
しいて気になる点をあげるとすれば、高速域からの加速にパンチがないことだ。この辺りは、低回転域を中心としたSUVテイストのセッイティングになっているためだろう。
ちなみに時速100kmでの回転数は2100rpm。静粛性も問題ない。
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足回りの新デバイスは効果絶大。
乗り心地は、ライバルたちと比べ微振動が抑えられ、ナチュラルなものとなっている。プジョーと言えば猫足、というコアを忘れていないのだろう。
その一方で、ライオンの魂も忘れておらず、アグレッシブな走りもきちんと盛り込まれている。
リア左右のダンパーの真ん中に、3つ目のダンパーともいうべきダイナミックローリングコントロール(オイルをコントロールする装置)が奢られているのだ。
その効果はてきめん。高速走行ですぐに実感することができた。車高の高いクルマにありがちなイヤなロールがきちんと抑えられている。
さらにフランス特有の、クネクネしているクセにハイスピードのワインディング路もチャレンジしてみたが、変らぬ安定した走りを楽しむことができた。ダイナミックローリングコントロールの恩恵は、かなり大きいといっていいだろう。
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国産ミニバンに負けないユーティリティの数々。
ユニークなユーティリティとして注目なのが風防調のヘッドアップディスプレイ。スピードやクルーズコントロールの状態、そして前走車との距離と時間がわかるディスタンスアラートも表示する。
フランスでは、車間距離の詰めすぎで起こる事故が50%にも上ることから装備されたとのこと。実用的なだけでなく、デザイン性も高いのは、フランス流と言っていい。
もうひとつの特筆モノは前後シート。前席は、柔らかすぎず固すぎずの包み込みタイプで、フィーリングがイイ。後席は十分なスペースの上、適度なカタサとホールド感で体が揺すられない。
ラゲッジルームもなかなか凝っている。テールゲートは、上下観音開き方式で、開口部も低め。重たい荷物もスライドさせればラクに積み込むことができる。ベンチ代わりに女性が2名が腰掛けることも可能だ。
トノカバーもアンダーフロアに仕舞えるので、スッキリ片付けられるし、ラゲッジ側から後席をワンタッチでアレンジすることもできる。国産ミニバン顔負けだ。