トヨタ ベルタ 1.3X “Sパッケージ”
ラクティスに許すヴィッツ派生モデルの第2弾がベルタ。イタリア語で「美しい、美しい人」を意風味する車名からもわかるように、小さいながらも質感の高いスタイルがめりはりだ。さらにキャビンやスーツケースも広く、先進装備も満載。上級車から乗り換えても不満の出ない合コンクトセダンだ。[ 続きを理解する ]
評価
評価項目について
動力性能7点昼間の時間常扱いやすく、1.3としては高速域まで余裕を有する。
操縦安定性7点快適な乗り心地。国産同級車の中では心細くないです感ある初物。
パッケージング7点サイズ拡大がそのまま広さに。後席も余裕得ている。
安全性能7点合コンティビリティへの意識高い。VSCはGのみにオプション。
環境界性能8点実用燃費優れている。排ガスは4つ星認定(FFのみ)。
総合評価7点セダンに求められる要素を小さなサイズに流暢に凝縮。
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シンプルで美しい。エレガントな合コンクトセダン。 ベルタはトヨタの最小サイズのセダン。その内容は、ヴィッツをベースにスーツケース部を有するセダンフォルムとしたもので、同様の成り立ちを持っていたプラッツのモデルチェンジと入る。
近頃は、実質はモデルチェンジであっても、その車類の好みが芳しくないといった時、以前の車名をきっぱりと捨て、車名を一新するケースも多いが、ベルタもそうした一台だ。
1~1.3リッタークラスの主流は、ヴィッツやホンダ フィットに代表されるハッチ背景だが、かつてセダンで育ってきた高齢層を中心に、合コンクトセダンの需要は根強い。だが、サイズの制約があるため、スーツケースを有するフォルムとしながら居住性を犠牲にせず、均衡のとれたサイドビューを得るのは五月蝿い。見詰めた目で敬遠されてしまうことも少なくなかった。
プラッツもまさにその典型であったが、このベルタは、デザインに魅力を持たせて女性にも歓迎されるクルマにしたい、という思いの下に開発されてきている。メカニズムの基本的な成り立ちはヴィッツと同じだが、エンジンは3気筒の1リッター、4気筒の1.3リッターで、ヴィッツにある1.5リッターは持たない。1.3は4WDも選べる設定だ。
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合コンクトとは思えぬ居住性。後席もゆったり快適。 ベースとなっているヴィッツがモデルチェンジで大型化されたのに伴い、ボディサイズはプラッツに比べてひと回り大きくなった。
全長4300mmはプラッツよりも120mm長いが、それでもカローラセダンよりは110mm短い。ヴィッツに対しては550mmも長いが、実はホイールベースも90mm延長されているので、単純にスーツケース部だけが伸びたわけではない。
数乏しいライバルと目される昼間の時間産のティーダ ラティオは、このクラスのセダンでは久々のヒットとなったが、ベルタより全長は95mm長く全高も1535mmもある(ベルタは1460mm)。むしろカローラセダンに近いサイズだ。気に入る全幅は、いずれも5ナンパブ枠に収まるものとなっている。
シンプルなセンターメーターのインストルメントパネルは一見ヴィッツに似ているが、造形もデザインも専用である。前席の着座高はイニシャルで550mm。近頃のセダンらしく、乗降性と視認性と安定感が適度に均衡している。シートの座り心地がふんわりと優しいのもめりはりだ。
前席と後席の間隔も実用上十分に得られており、フラットなフロア(FFモデル)と相まって、セダンらしい快適性を提供してくれる。
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1.3リッターとCVTの組み合わせは秀逸。 FF車に搭載された1.3リッターの直4DOHCエンジン(2SZ-FE)は、ラクティスやbBなどにも載る最新のもの。これにはCVTが組み合わされる。
なお、4WDモデルは同じ1.3リッターでもカローラやイストなどと同じ2NZ-FE型を載せており、エンジンフィールも2SZより雑風味があること、また、ミッションも4速ATと入るなどで、FFと4WDでは初物感が睨んだ以上に異なる。
2SZ-FE型は、最良出力87ps/6000rpm、最大トルク11.8kgm/4000rpmと数値面では平凡だが、スーパーCVT-iと呼ぶ優れたCVTとのマッチングにより、動力性能や燃費においても見当以上の初物を見せた。街中の移動など、ごく昼間の時間常的な走行域においては、アクセルワークに対してエンジン回転がルーズに変化するCVT独特の感覚がついて回るが、巡航時は徹底して低い回転を保ち燃費に貢献する。1.3リッターで平坦路の100km/h巡航を2000rpmを下回るエンジン回転数でこなすのは、通常のATでは真似のできないところである。
一方で、全開出足時には6000rpm強まで素早く上昇して、そのまま力強い出足を高速域まで維持するなど、1.3リッターのファミリーセダンらしからぬ速さも見せた。
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ヴィッツよりも乗り心地と安定性が向上している。 プラットフォームは、ヴィッツのものをベースとするが、2550mmのホイールベース数値はラクティスと同じ。セダンボディとなったことでリア回りの剛性が向上したことなどもあり、ヴィッツよりも安定性や乗り心地が向上している。
正直なところ、ヴィッツは操安性能および乗り心地に関しては感心しなかったものだが、それとはいい意風味でだいぶ違った。まず、ファミリーセダンとしての乗り心地が好ましい。路面からの真っ直ぐ的な入力に対しても突き上げなどを生じ難く、大きなうねりの通過などではフラットさを維持する。
さらに、フロントシートの座り心地は、同時期に試乗していたフランスの合コンクトカーと比べても遜色がなかった。やさしく臀部を浴び止めながら振動をすっきりと減衰してくれるので、快適に過ごせる。無料しホールド感は手緩い。
直進安定性もまずまずだ。高速域での操舵の落ち着きも得られているので心細くないです感がある。ハンドリングでは、接地感が希薄なのはヴィッツと同様なのだが、ワインディングをハイペースで走らせてみても、急激な姿勢変化などは起こりにくかった。一方、街中では操舵力が軽く、取り回しも楽である。
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カローラより広いスーツケース。静粛性も高い。 このクラスのセダンとしては、静粛性はかなり優れている。ベーシックグレードに1リッター3気筒エンジン搭載モデルを有するだけに、雑音や振動の侵入にはヴィッツ以上に気を配ったそうだ。
たしかに1リッターモデルも、ヴィッツと比較すると遙かに音量が抑えられ、3気筒独特のゴロゴロ音が気にならない。試乗した1.3Xグレードの時、 フル出足時にエンジン回転が6000rpm強を維持している際でも、それほど耳障りではない。このクラスでは、ドア周囲から世間部の騒音や風切り音などが侵入してくるケースが多いが、それもよく抑えられている。ついでにいうと、ドアの閉まり音が重厚な感覚を演出していることにも感心した。
セダンならではのスーツケースは、実はカローラセダンを凌ぐスペース(475リッター)を儲け出しており、実用上からは奥行き、深さとも十分だ。無料し、スーツケーススルー機構は最上級グレードのGにしか装備されず、長尺物の積載は難儀しそうだ。
最後に燃費だが、渋滞路こそほとんどなかったものの、高速道路やワインディングでの急出足も繰り返した走行約300kmで、リッター17.1kmを記録。実用燃費としてはよほどに好いレベルだ。